車と同様に、家にも「性能」がある。性能を知って家をつくればさまざまなベネフィットを享受することができるのだ。
家は、一生の中でも1番高い買い物。デザインや間取りなどの目に見える部分も家づくりでは重要だが、目に見えない部分に快適な家づくりの本質が隠れている。それは家の性能。性能の差が何十年も続く暮らしの快適さを左右する。
では、快適な家に欠かせない性能とは何を指すのだろう。
1つ目は建物の内外に熱が伝わりにくくする「断熱性能」、2つ目は建物のすき間をなくして密封する「気密性能」。そして3つ目は室内の空気環境を左右する「換気・空調(空気環境)」だ。
これら3つの性能が優れている高性能な家に住むことで得られる1番のメリットは、暑さや寒さの影響を受けにくく、1年中、どの部屋にいても快適な室内環境が保てること。さらに、冷暖房の効率が良くなることで家計における光熱費の負担が減り、省エネにもつながることだ。
目に見えない性能は、私たちの暮らしを豊かにするために必要なもの。快適に長く暮らせる家を叶えるために、高い性能に着目した家づくりを目指そう。
断熱性能は、家の内外に熱が伝わるのをどれくらい抑えることができるかを表す性能だ。冬は外の寒さを伝えず、室内の熱を外に逃がさない。夏は外の暑さを伝えず、室内の涼しさを外に逃がさない。
気密とは「どれだけすき間のない家か」ということ。断熱性能を高めてもすき間があると空気とともに熱や湿気が出入りするため、冷暖房の効きが悪くなる。花粉やPM2.5などが入り込むことも。
心地良さを決めるのは換気と空調。エアコンを使用中、足元と頭とで温度差を感じることがある。家全体が一定の温度で、空気の流れが穏やかなら、ほこりが飛散しないというメリットもある。
快適な家づくりを考える際に大切なのは断熱性能と気密性能。ではそれらの性能の良し悪しはどう判断すれば良いのだろうか。断熱性能と気密性能を図る上で欠かせないのが「Q値」「UA値」「C値」という3つの単位だ。
「Q値」「UA値」は断熱性能を表す単位。どちらも「どれくらいの熱量が家の外に逃げやすいか」を表すものでQ値が小さい家=熱が逃げづらい家で、冷暖房の効率が良く省エネな家ということが分かる。
「C値」は気密性能を表す単位。「どれくらい家にすき間があるのか」を示した数値で、C値が低ければ低いほどすき間が少ない家、つまり高気密な家であることになる。性能を確認するために「Q値」「UA値」「C値」は必ず覚えておこう。
家から逃げる熱量(換気含む)
Q値=家全体から逃げる熱量(W/K)床面積(m²)/家から逃げる熱量(換気含まない)
UA値=家全体から逃げる熱量(W/K)外皮面積(m²)/室内の空気が隙間から外に逃げる
C値=家全体の隙間の合計(cm²)/建物の延床面積(m²)
では「Q値」「UA値」「C値」について、実際にはどの程度の数値であれば高断熱、高気密といえるのだろうか。
国が定める省エネルギー基準では、気候の違う日本国内の各地域ごとにUA値、Q値の基準値が示されていて、広島県ではUA値=0.87(W/m²・k)、Q値=2.7(W/m²・k)を推奨している。また、C値に関しては、C値=1(cm²/m²)以下であれば広島の住宅として高気密住宅だといえる。
これら3つの単位に注意して、住宅性能を見極めることを心がけよう。また、これらの性能値に関して、住宅会社や工務店に「UA値、Q値、C値の数値は'」と質問してみるべき。答えられる会社は、快適な住まいづくりに真摯に取り組んでいるといえるだろう。