シックハウスとは、VOC(※2)をはじめとする化学物質に対して過敏になる症状のことで、咳や鼻水、頭痛などさまざまな体調不良を引き起こす原因の一つとされています。昨今では、フォースター建材など化学物質含有率の低い建材も開発されていますが、日本では欧州基準の2倍程度まで許されており、敏感な人や赤ちゃん、子どもの健康を考えるとその対策は決して万全とはいえません。快適な住まいをつくる際には、そうした対策に最大限配慮する必要があるといえるでしょう。
VOCをはじめとする化学物質過敏症であるシックハウス症候群。使用において規制対象となっているホルムアルデヒドやクロルピリホス(シロアリ駆除剤)、さらにはトルエンやキシレン、エチルベンゼンといった内装材用接着剤、防虫剤やトイレ芳香剤に使われているパラジクロロベンゼンなど、住宅性能表示制度において濃度規制の対象になっている揮発性の有機化合物が、シックハウス症候群の誘発原因と考えられています。住宅の気密性が高くなったこともその一因と考えられます。
規制の対象となっているのはこれらの有機化合物の濃度ですが、人によって反応の度合いは異なり、新築の家に入ると鼻がむずむずしたりくしゃみが止まらない、あるいは目がチカチカするという人もいます。これには住宅建材の接着剤などに使われる化学物質の揮発による影響も考えられます。そうした影響を避けるため、住宅の建築には自然原料の糊や、化学物質を吸着・分解してくれる珪藻土や漆喰をできるだけ使うようにしたいところです。
さらに注意したいのが、洗剤や化粧品、防虫剤といった日用品に加え、家具の塗装に使われる塗料や接着剤からも化学物質は放出されていることです。せっかく住宅を自然由来の材料で建てたとしても、揮発性化学物質が放出されている日用品を使っては、シックハウス対策の効果も減少してしまいます。健やかな暮らしを将来にわたって送るには、身近な日用品も注意して選ぶようにしましょう。普段から換気や通風を十分行うように気をつけ、換気設備のフィルター清掃を定期的に行うことも重要です。
珪藻土や漆喰、土壁、国産木材など、自然素材で構成された生活空間で暮らすことは、健やかな生活の実現に直結します。居室はもちろん、洗面脱衣室やトイレなどの水まわりにも、化学物質を含む建材でなくできる限り自然由来の素材を使い、毎日をすがすがしく清浄な空気に満たされた中で暮らしたいものです。