トップ > コラム一覧 >木のいい話

木のいい話

木づくりの家は、住む人にも環境にも優しい

 

 

木をふんだんに使う住まいは、木のいい香りがして癒やされるといいます。自然の中でたくましく育った森の木にはどんな効果があるのか。そんな木の「真の姿」を探ってみました。

 

 

 

木の家は体にいい〈データを検証する〉

 

木造には風邪ひきさんが少ない

 

ある木造校舎の学校の調査によると、風邪をひく生徒が少ないというデータが出ました。またある地域の老人ホームでも、インフルエンザや不眠、ケガなどの発生率が低いというデータも得られています。木の調湿効果や香りに含まれる抗菌性など、さまざまな効果がこうした好結果に結びついたものと考えられます。

 

木造は集中力を高める

 

下記のグラフは、共に竣工10年以内の木造校舎と、同一地域にある鉄筋コンクリート造校舎および内装木質校舎で教える教師へのアンケート結果です。慢性疲労を自覚しながら教える教師が多い鉄筋コンクリート造教室、高学年になるにつれて眠気や気だるさを感じる生徒が多い鉄筋コンクリート造教室は、「教える」「学ぶ」環境としてはふさわしくないといえるかもしれません。

 

木の家はダニをシャットアウトする

 

木の家にはダニを寄せつけない効果があります。ある集合住宅の床をカーペットから木のフローリングに改装したときの調査では、次の図のような結果が出ました。その大きな理由として、木の調湿性能や木に含まれる成分が大きく影響しているものと考えられます。

 

 

 

 

木に触ると血圧が下がる

 

「木は手触りがいい」「木はぬくもりがある」など、木を感覚的に感じることが多いですが、実際のところはどうなのでしょうか。ある研究報告によると、目を閉じた状態でいくつかの素材を触れ、その印象と血圧を調べたところ、木は自然な印象を抱き、血圧が低下。一方、ガラスは不快な印象とともに血圧の上昇が見られたという。毎日の暮らしの中に木をたくさん取り入れることは、人間のストレスを減少させる可能性があります。

 

 

 

木は心にもやさしい〈匂いや手触りを検証する〉

 

森林浴でリフレッシュする

 

 

木々の緑は目にやさしく映るし、樹木から出るほのかな香りで気分が爽快になります。樹木が出すフィトンチッドは抗菌性や消臭効果を持っていて、健康にもよいと科学的にも証明されています。

 

木は心を穏やかにする超高周波音を通す

木々の葉のざわめきなどに豊富に含まれている「超高周波音(人間に聞こえる音の範囲を超える超高音)」。これが不足すれば、不快感を感じたりするといいます。鉄筋コンクリートの住宅は、この「超高周波音」を遮断してしまいます。しかし、木造住宅なら適度に通すので、精神的安定が保てるといわれています。目にも耳にも感じない木の家の効果といえるでしょう。

 

 

木の匂いがストレスを低減する

 

木の匂いは木に含まれる精油成分で、ストレス低減などの効果があります。木造住宅の中にいると落ち着くという人が多いのも事実。最近では、ヒノキの精油を芯に練り込んだ繊維を使った寝具なども登場しています。精油は外材よりも国産材に多く含まれています。

 

 

木には衝撃吸収力がある

 

人が転倒したとき、頭が地面や床にたたきつけられるスピードは秒速4〜6m、その最大衝撃力は200kg以上と、相撲取りの体重と同等あるいはそれ以上の衝撃力になります。もし床が木なら、その衝撃吸収力によりショックが軽減されます。

 

木の空間が健康な住環境をつくる

ある老人ホームでケガや心身の不調に関して調査したところ、木を多く使った施設のほうが骨折や不眠などの発生率が低いという結果が出ました。また、木は病原菌などを寄せつけない素材ということで、内装を木質仕様にする病院もあります。高齢化社会では、こうした木を使った住環境づくりが求められるでしょう。

 

 

 

 

木は強い〈木の家は地震にも強く、コスト性にも優れる〉

 

10㎝角の柱で支えられる強さを比較

 

図からも分かるように、木は十分な強度を持っています。ところが、実際にはコンクリートと比べた耐久性や耐火性という点や、またコンクリートのような太い柱になる木がないため、マンションやビルはコンクリートが使われています。つまり、一定の構造計算による適切な施工を行えば、木造住宅でも十分強い建物になるということです。日本の伝統建築による正倉院や五重塔のような高層の木造建築は、木本来の性質を巧みに引き出して造られた代表例です。

 

 

 

 

軽くて強いのが木の特徴

軽くて強いのが木の特徴。表のように、木材の比強度は法令で定めた材料強度の値でも419と、鉄筋の382、コンクリートの78と比べても高い。許容応用力の値では、長期・短期とも鉄筋のほうが高いものの、木は軽いことから運搬費用、施工費、基礎工事費が少なくてすみ、簡易な道具や機械で加工が可能。少ないエネルギー消費量で家が建てられます。

 

 

 

 

木材費が占める割合は鉄筋コンクリートより少ない

 

試算によると、家の総建築費の10%が木材費、大工労務費を加えた木工事費で約30%にすぎません。住宅金融公庫の統計では、戸建ての建築費は軸組工法が坪53万円、鉄骨系プレハブ造りが約58万円、鉄筋コンクリート造りが約61万円と、木造のほうが安くなっています。ちなみに、スギ柱材は10.5㎝角で長さ3mの並材の場合、1本約2000円〜3000円。家を1軒建てるのに必要な本数は約100本。このように木材そのものの費用はけっして高くはありません。そのうえ、木材は利用すればするほど環境にやさしい資源です。国産材を使えば日本の山をきれいにすることにもつながっていきます。

 

 

back_to_top