トップ > コラム一覧 >広島県工務店協会が行うホームインスペクションの現場に密着

広島県工務店協会が行うホームインスペクションの現場に密着

日本でも近年、中古物件の流通が増え、それに伴い普及しはじめているホームインスペクション。今回は、家づくりのプロである地域工務店が行うホームインスペクションを取材し、その診断内容とメリットを明らかにした。

 

 

現場に密着1 住まいの現状を知るホームインスペクション

ここでは、ホームインスペクションについて知り、その重要性を伝えたい。また、保険会社や不動産から派遣された第三者機関の診断士ではなく、家づくりのプロである工務店が行うホームインスペクションの違いを示す。

 

家を診断するホームインスペクションとは

ホームインスペクション(住宅診断)とは、第三者が住宅の劣化状況、欠陥の有無を客観的な立場で検査すること。また、修理すべき箇所やその時期、それらに必要な費用などのアドバイスも同時に行う。基本的な診断方法は、基礎や屋根、外壁、室内、床下、小屋裏などの状態を目視や専用機具を使って見極める。

アメリカでは常識と言われるほど浸透しており、日本でも徐々に普及し始めているが、一般的には中古物件の現状を把握するために行われていることが多い。

外回り、家の中だけでなく小屋裏や床下も診断する

 

工務店だからこそできる住まいの診断とは

数ある工務店の中でも広島県工務店協会の属する工務店が行うホームインスペクションと、一般的なホームインスペクションの大きな違いは、床下と小屋裏の点検をしてくれるところだ。一般的にオプションとして扱われる場所だが、シロアリ被害や雨漏りなど、大きな欠陥が隠れている場所なので専門機具を用いて入念な検査が行われる。また、家の施工工事を行う工務店だから危機的な劣化が見つかった際にも早急な対応ができる。もちろん、「既存住宅状況調査技術者者登録録証」の有資格者が診断をしてくれる。


地域密着の家づくりプロとして、工務店がいる

 

Point! 広島県工務店協会だからできる他とは違うホームインスペクション

●実際に家を建てる、直す技術のある工務店だから、現状だけでなく、住まいの劣化症状の現状を把握できる。
●床下と小屋裏の点検は、通常の点検項目として行ってくれる。
●ホームインスペクションと一緒に耐震診断をお願いすることができる。

 

現場に密着2 築26年、中古戸建のホームインスペクション

ホームインスペクションと言っても、住まいのどんな箇所をどんなふうに診断してもらえるのか、その診断内容が気になるところ。そこで、築26年の中古物件を実際にプロの目で診断してもらった。

 

外回りの診断

外まわりは、雨風や太陽光などにさらされているため、築年数を経るごとに劣化するのは当然のこと。その劣化が構造に深刻なダメージを与える可能性がないか確認する必要がある。

 

外壁のチェック

ひび割れや剥がれ、チョーキング、コケ・カビ、釘の浮きなどがないか、手で触るとともに目視で確認。また、打診棒を使って剥離のチェックを行う。壁と壁のつなぎ目のコーキングの劣化もしっかり確認。

 

基礎のチェック

コンクリートの劣化がないか目視で確認。ひび割れのチェックをし、見つかった場合はその深さや幅を測定し、構造への影響の大きさを確認する。また、サビ汁がないか鉄筋の確認を行うほか、シロアリの蟻道についても確認。

 

 

屋根のチェック

屋根材に割れ、欠け、色褪せ、ズレなどがないか目視と双眼鏡で確認する。加えて板金のソリや浮き、サビ、含水率などもチェック。瓦屋根の場合は、台風や積雪などの影響で棟のズレが生じていないかを確認する。

 

軒下のチェック

軒下の汚れや剥がれ、破損がないかを目視で確認する。汚れが雨染みだった場合は、雨漏りの可能性もある。また、軒下の素材が木だった場合は、腐食していないかも念入りにチェック。

 

室内の診断

室内は、外まわりほどの劣化はないが、経年には逆えない。診断では、目につきやすい場所から、なかなか目にできない場所まで、細かくチェックが入る。

 

壁のチェック

まずは手で壁を触り、その素材を確認してから、剥がれや柱との隙間の有無をチェックする。雨染みがあった場合は、雨漏りの可能性が考えられる。さらに手で押し、壁内が腐朽していないかも確認する。

 

天井のチェック

壁のチェック同様、素材を目視で確認してから、壁紙の剥がれや柱との隙間の有無を確認していく。雨染みが見られる場合には、雨漏りの可能性も。また、梁が見える場合は、激しいひび割れや劣化、たわみがないかを目視する。

 

柱、床のチェック

激しいひび割れや劣化がないか、目視で確認。レーザーレベルを用いて、床と柱の傾きが6/1,000以上あるかチェックする。傾きが大きい場合は、構造体の安全性にまで影響を及ぼす
レベルとして判断される。

 

小屋裏のチェック

点検口から小屋裏に上り、小屋組みの著しいひび割れや劣化、耐震に必要な筋交いの有無をチェックする。木と木を止める金物の有無と劣化も併せて確認。また、木の腐朽の可能性がないか、含水率を図って調べる。

 

Point! 床下のチェック

シュミットハンマー試験で、コンクリートの強度を図る。また、シロアリの侵食を調べるために含水率を図る。その結果が15%以上の場合はシロアリが発生しやすく、18%以上になると腐朽の恐れがある。

 

現場に密着3 中古流通が増える中でのホームインスペクション

ホームインスペクションの大きなメリットは、中古物件の買主・売主ともに安心感や安全性を得られることである。それ以外にも、減税などお得な制度を活用できる。改めてホームインスペクションの魅力を紹介しよう。

 

みんなにメリットがあるホームインスペクション

中古物件を購入することは、買主にとって大きな買い物である。そのため、建物そのものに対して、懐疑的になりやすい。だからこそ、第三者が物件調査をしっかり行った中古物件であることが大事。ホームインスペクションの魅力は、客観的な視点による建物の状態を買主も売主もきちんと知り、把握できることにある。買主にとっては建物への信頼感が増し、安心して購入に踏み切れる。一方、売主にとっても、リフォームの必要性ついて検討しやすくなるほか、「ホームインスペクション済み」として広告を打つことで集客アップの効果も見込める。さらに、双方にとって喜ばしいのが、引き渡し後のトラブルを防げることである。売買前のホームインスペクションは、メリットしかないと言っても過言ではない。

 

売手側のメリット

●信頼物件として販売が可能。

●引き渡し後のトラブルのリスクヘッジができる。
●買主の購入時の不安を和やらげることができる。

 

買手側のメリット

●住まいの劣化状況が分かったうえで購入できるので安心・安全。
●瑕疵保険に加入すると保険適用中に瑕疵を発見した場合、修理などの補償を受けることができる。
●瑕疵保険に加入すると、住宅ローン減税の適用となる。

 

Point! さらに!瑕疵保険に加入のメリット

●減税制度の対象範囲が拡大

 木造住宅は築20年、鉄筋コンクリート造などは築25年だが、加入すれば、築年数が昭和56年以前の物件でも適用となる。
●住宅ローン減税の利用可能
 いくつかの条件を満たし住宅ローン減税の利用が可能な場合、約160万円も控除される。2019年2月現在

 

back_to_top