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備後で出合う

 

 

施工:株式会社加度商

 

家づくりの可能性を広げる素材と技術

 

「家」は工務店の力だけでは完成しない。さまざまな素材を扱う企業の開発力や技術力、探求心によって家づくりの可能性は広がっていく。広島県の地元工務店が集う「広島県工務店協会」にはそういった企業が賛助会員として参加し、広島県内の家づくりを支えてくれている。今回は備後エリアにスポットを当て、スチール階段や手すりなどを製造する株式会社コーエイメタルと多種多様な塗材を取りそろえている株式会社ワンダーウォールの2社を訪ねた。

 

 

 

福山市南手城町 

 

 

(写真右)ショールームでは実際に手すりを握って感触を確かめられる。階段の踏み板もモールテックスをはじめ多くの種類から選べ、自由な組み合わせが楽しめる

 


(写真左)木製の天板と、溶接で三角形に仕上げた鉄製の脚との組み合わせがスタイリッシュなダイニングテーブル。高い技術とデザイン性が光る

 

木の空間にもしっくり馴染む階段や手すりをオーダーメード

 

株式会社コーエイメタル

 

鉄、ステンレス、アルミの加工や組み立て、溶接などを手掛け、高い技術力と提案力で金属をトータルプロデュースする株式会社コーエイメタル。工務店や設計事務所だけでなく、一般ユーザーからのオーダーにも対応可能な金属のスペシャリストたちが生み出す製品の数々を紹介しよう。

 

金属を知り尽くすプロが提案から製作まで全てを担う

 

 主力製品はスチール階段や手すり、ステンレス製の庇などで、駅や学校などの公共スペースに設置される手すりや柵などの実績も豊富な株式会社コーエイメタル。工務店など企業相手のみならず、一般ユーザーからの直接の受注も行っていて、棚や物干しパイプなどに加え、近年ではキッチンのカップボードやダイニングテーブルなどの受注が増加。ステイホームの定着でおうち時間が増えていることもあり、天井に取り付けるうんていやハンモックの受注も多いそうだ。
 以前はオーダー専門の体制を取っていたが、それだとどうしても単価が高くなってしまい、一般ユーザーにとっては選択しづらくなる。そこで、従来のオーダーメードに加え、規格化した自社製品を開発して単価を下げ、塗装などの仕上げで要望に応じたオリジナリティーを出せる工夫も凝らしている。
 金属に精通する同社の強みは、技術力と提案力を併せもっていることだ。
25年間溶接の仕事一筋に歩んできた近藤寛志社長は、設計事務所からの依頼にも対応。深く話し合いながらクライアントが求めるものを的確にとらえ、複数の選択肢を提案していく。「図面通りにつくるのは他社でもでき金属を知り尽くすプロが提案から製作まで全てを担うますが、何もない状態から採寸、図面作成、製作して不具合があれば迅速に対応する。そこまで一貫してできるのが当
社ならではだと思っています」と近藤社長。同社と取り引きを行っている地元の工務店、株式会社加度商の加度亮平社長からは、「フレキシブルに提案してもらえ、修正してつくり替えてもらうときの対応も良いので、当社では〝困ったときのコーエイメタルさん〞(笑)。こうした細かい対応が可能なので、私たち工務店向きの会社さんだと思っています」と、実に頼もしい存在のようだ。
 一般ユーザーでも同社の製品を実際に見たり触ったりできるショールームがあり、ここでは製品の質感を体感することができる。デザインや素材にこだわった階段と手すり、木製の天板に鉄製の脚を組み合わせたテーブルなどは、すてきな空間づくりに一役買ってくれそうだ。新築やリフォームの際は、1度訪れてみることをおすすめしたい。

 

 

採寸したスペースに合わせてジャストサイズでつくってもらえるオリジナルラック「ターナー」

 

 

スチールサッシ製の枠と、イギリスから輸入した4種類のデザインガラスを組み合わせた窓

 

 

取り付けるだけで味気ないコンセントプレートがクールな印象に変わる鉄製のコンセントカバー。製作には精密な加工技術が求められる

 

 

溶接部分にできる盛り上がり(溶接ビード)がなるべく出ない特殊で高度な溶接技術「TIG溶接」(写真手前)を採用。仕上げに溶接ビードを削ってしまうと強度が落ちるので、削らずにいかに美しく仕上げるかを追求

 

 

 

工場内は整理整頓と掃除が行き届き、美しく保たれている。「お客様の家に置いていただくものなので、きれいな環境でつくりたい」と近藤社長

 

 

代表取締役を務める近藤寛志さん

 

 

株式会社コーエイメタル
[本社・工場]
〒721-0963 広島県福山市南手城町4-10-25
[ショールームFe.D]
〒721-0963 広島県福山市南手城町4-12-9
TEL 084-959-2359
http://www.koeimetal.com/

 

 

福山市笠岡町

 

 

 

こだわりの塗材を正しく施工しイメージした内装をカタチに

 

株式会社ワンダーウォール

 

株式会社ワンダーウォールは、珪藻土や漆喰、モールテックスなどの塗材を駆使し、オリジナリティーに富んだ魅力的な内装を仕上げる塗材施工会社。それぞれの塗材の性質を踏まえて、工務店や一般ユーザーがベストな選択ができるようにと、実物を確かめてもらうためのショールームが福山市中心部に展開されている。

 

美しい内装の仕上がりは塗材の知識と技術あればこそ

 

 「世界中でおしゃれ×機能的で快適な空間を届け、1人でも多くの人が笑顔になれるように」というコンセプトを掲げ、さまざまな塗材の販売と施工を手掛ける株式会社ワンダーウォール。新築やリフォームで塗材を使う工務店などの業者だけでなく、一般ユーザーにもさまざまな塗材の色合いや質感を実際に見て選んでもらえるよう、JR福山駅の近くにすてきなショールームが構えられている。ここでは塗料はもちろん、壁紙などの建築資材を豊富にラインアップしている。
 1番の主力商品は、モルタル塗りに近い仕上げができる塗材、モールテックス。ベルギー生まれの塗材で、もともとは地下に水が浸入しないよう止水材を製造していたBEAL社の製品で、水に強いのが特徴だ。モルタルはセメントと水が材料だが、モールテックスはセメントと特殊な樹脂を材料としているため、柔軟性があってひびが入りにくいのも長所。薄塗りしても強度が高く、リフォームで人工大理石やステンレスに塗るのもOKだ。いわゆるモルタルの色であるグレーだけでなく標準色
64色に加え特注色にも対応可能で、無限のカラーバリエーションも大きな魅力。防水性と意匠性を兼ね備え、ほぼ何にでも美しい内装の仕上がりは塗材の知識と技術あればこそ塗れるとあって人気を呼んでいる。
 ただ、モールテックスの施工には専門の知識と技術が必要で、研修を行って認定を受けた施工者が行うのが原則。同社の代表取締役である本田海さんもその1人だ。「認定を受けていない方がモールテックスの施工を行って失敗し、そのやり直しを依頼されることも時々ありますね」と本田社長。同様の性質をもつ塗材で、最近では環境への配慮から石英や大理石の廃材を再利用したオルトレマテリアという〝グリーンライフ〞とデザイン性の両立を目指して創り出された革新的な左官塗材のライセンスも取得。
 他にも、天然素材由来の塗材であるエターナルアース・テラや、白さが際立つエターナルアース・ソフトしっくい、英国のハンドメードブランドFARROW&BALLのオーガニック塗料など、あらゆる塗材を展開。専門知識と施工技術を備えた〝塗材のプロ〞は、工務店にとっても心強い味方だ。

 

 

モールテックスで施工されたコーナー。新築やリフォームを請け負った工務店が、施主に色の確認をしてもらうために訪れることも多いという

 

 

 

モールテックスを実際にMDF板に塗った状態で、色の出方や風合いを確かめられる。ムラが良い味わいを醸し出すのもモールテックスならでは

 

 

店内奥にあるFARROW&BALLのコーナー。耐久性に優れ、美しい発色の水性塗料を生かし、塗材だけでなく伝統的な工法による壁紙も並ぶ

 

 

エターナルアース・テラは、塗り方をアレンジしたり、塗材の粒の大きさを変代表取締役を務める本田海さん えることで、意匠性の高い内装も可能

 

 

防腐剤も使わない天然素材由来のエターナルアース・ソフトしっくいを塗った壁

 

 

ショールームの隣には、同社が施工したヘアサロンがある。店名が書かれたプレートと外壁はモールテックスで施工

 

 

 

 

株式会社ワンダーウォール
〒720-0044 広島県福山市笠岡町2-24
TEL 084-959-2518
https://wonderwall-inc.co.jp/

 

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