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石州瓦のある住まい

広島の風土に根付く石州瓦の住まい

ひろしま住まいづくりコンクール2013年度新築部門・最優秀賞、2016年度特別賞まちなかに集うくらし賞を受賞している「杜のアレイ(横丁)」を石州瓦の魅力とともに紹介。
住む人、地域の街並み、家づくりが一体となるこの家には、耐水・耐風、耐久性を持ち、日本の街の風景になじむ石州瓦が採用されている。


施工/株式会社竹野内建設
設計/株式会社現代計画研究所

 

隣接する神社の鎮守の杜と響きあう住まい

「杜のアレイ(横丁)」は隣接する神社の鎮守の杜と響きあうような緑豊かな街並みづくりを目指す、3軒の木の住まいによる小さな街づくり。3軒の住まいを別々に計画するのではなく、それぞれの敷地の通風や日照、採光、プライバシーの確保と街並みの調和をあらかじめ考えた基本設計を行っている。

接道が十分でない既成密集市街地の中に取得された3軒分の敷地に、それぞれの区画が互いに寄り添うアプローチを設け、雁行した3棟の配置計画をすることで、屋内外が一体的につながり、近所の鎮守の杜を景観に取り込んでいる。西国街道に近接した歴史ある街にふさわしい街づくりと、地域の材料や職人技術を積極的に生かした、ふるさとの森を身近に感じられる住まいづくりの取り組みだ。

 

三敷地の舗装・植栽を統一した広場のようなアプローチ空間と、軒の深い瓦屋根が雁行して連なる配置計画。西国街道に密集した街並みに、緑とゆとりを生む横丁(アレイ)

 

高い塀を設けない開放感のある街並み

互いの庭を借景し合うヤマモミジの家(右)とハナミズキの家(左)。ニ階はコンパクトに抑え、明るくのびのびとした室内空間が得られるつくり

 

2階建て部分妻面は、隣棟との視線の交錯を少なくするため最小限の窓の大きさとしている。生垣のシマトネリコは1階部分の視線を遮りながらも、互いの住まいから見て楽しむことのできる植栽だ。また、軒を長くし建物の耐久性向上に配慮している。コンパクトなサイズでありながら、視線の抜けや回遊性のある動線により広がりある空間とし、居心地のよい場所をちりばめている。

鎮守の杜をはじめとした周囲の街並みとの調和を考えたときに、景観に合う屋根瓦は石州瓦を採用。経年変化に強く長持ちし、メンテナンスがかからないこと、空間になじむこと、庭、植栽とのバランスを検討した結果だ。

 

コンパクトながら広がりのあるリビング・ダイニング。デッキテラスで屋内外を緩やかにつなげ、視線の先には庭の植栽と神社の杜が続く

 


ヤマボウシの家2階からの眺め。小路の緑と石州瓦の屋根並みが、山並みにつながる

 


完成見学会・勉強会の様子。ミニセミナーを通じ、大工や左官をはじめ、住まいづくりに関わる多様な職人技術を披露し、身近な住まいづくりがまちづくりや森づくりにつながる可能性を紹介

 


地域の材と技術でつくり、守り育てる住まい。地域の木材産業と大工、工務店が連携することで実現する、広島の森を身近に感じ、ふるさとへの愛着の深まる家づくり

 

 

歴史ある街並みに調和する植栽と住宅の配置計画

 

 

 


2階部分は隣棟同士の壁の重なりが少なくなるよう棟の方向を変え、ボリュームをコンパクトに抑えている。神社との間に通る路地には、平屋部分と庭・生垣が面し、建物ボリュームを抑え、神社と響きあう緑豊かな小径を演出している。

 

設計/株式会社現代計画研究所
施工/株式会社竹野内建設

 

お客様の声
50年後に安心して暮らせる住まいに考え方がシフト

自然素材、漆喰の塗り壁、外壁、屋根瓦、植栽などに大変こだわりが感じられ、自分たちだけで家づくりをしていく上では思いつかなかったような素晴らしいアイデアが随所に見られます。しばしば道行く人たちが家の前を通る際に見上げてくれています。自分でも車を駐車して家に入る前に思わず見上げることがあります。室内は快適そのもので、夏の38度近い猛暑日の最中にクーラーが壊れたのですが、扇風機でなんとか乗り切れました。

当初家づくりを考えるにあたっては、5人家族なのだから少なくとも子ども一人ひとりに部屋を割り当ててあげたい、子ども部屋を3部屋
作れる家を建てようと考えていました。しかし、説明会や打合せの中で竹野内建設様の話を伺っていく中で、部屋数よりも、住む家の素材や工法、造りのほうが大切なのではないか、50年後に安心して暮らせる住まいのほうが幸せなのではないかという考えにシフトしていきました。

いま、子どもたちは、元気に家の中を走り回っております。休日は庭で遊ぼう、神社に行こう、公園に行こうと私を休ませてくれません(笑)。これまでは室内でミニカーでしか遊べなかったので、実際に土を相手に遊べることに喜びを感じているようです。

 

施工会社の声
古くからの良き町に似合う家づくりができました


株式会社竹野内建設代表取締役 竹野内政信氏
お住まいいただいているお施主様からは、「自然素材でできた家であり、庭もついており、子どもを育てる環境としては最高」「屋根や外壁のメンテナンスフリーという点も長く住むには魅力的に感じました」という声をいただきました。海田という古くからの良き町に似合う家をつくりたいという私たちの意図にも共感いただき、非常にうれしく思います。

 


石州瓦の魅力

独自の製法による高い機能性

石州瓦の一番の特徴は耐久性だ。雨、積雪、日射、風、潮風など過酷な気候条件でも50~60年、それ以上劣化をすることなく住まいと家族を守る。その機能性の高さは
原材料となる都野津層の粘土と、1200度以上という焼成温度の高さにある。

 

防風

石州瓦は互いにがっちりかみ合う組み合わせ構造。山陰に吹き荒れる強風にあっても、瓦のめくれやズレを最小限にとどめる

 

耐震

石州瓦の重い屋根が建物を大地に押し付けるので、躯体さえしっかりしていれば、地震の揺れにも強さを発揮する

 

防音・耐久

風や地震に強く耐久性がある上、断熱、防露、遮音といった二次的性能も優れている。このため住まいの快適性や省エネにもひと役

 

家の形状・デザインに合わせ選べるバリエーション豊かなラインナップ


ニューセラFU

 


S形洋風瓦

 


J形和瓦

 

多彩なデザインで洋風住宅にも

石州瓦は、現代の暮らしに合う洋風住宅用デザインも豊富だ。モダンでシンプルなフレンチスタイルにはシャープで落ち着きのある外観を生み出す『平板瓦Fタイプ』。また『S瓦タイプ』は明るい地中海をイメージ。色や形状も多彩に揃う。


長期的に見ると断然オトク!

一般的に10年おきに塗り替えが必要な金属製や化粧スレート等の屋根と比較すると、石州瓦はほとんどメンテナンスフリー。ほとんど劣化や色褪せなどがないので、塗り直しや葺き替えの必要がなく、30年以上の長期的なコストを見ると経済的な屋根と言える。

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