地域に根ざす広島県工務店協会が、安全でより良い建築現場づくりの向上を図ろうと、半年に1度のペースで実施しているのが「現場力向上・安全パトロール」。会員工務店の社員が参加し、会員各社の現場を持ち回りで視察して、その気付きを話し合い、自社の改善に生かすための取り組みだ。通常、他の工務店の現場に行く機会はほぼないため、社員にとっては実に貴重な経験。会員各社の社員との交流で刺激を受け、自分や自社に足りない部分を反省・改善する機会にもなるのだ。「自社の現場を見せるのは勇気がいることですが、見せることで新しい気付きがあり、自身の勉強にもなる。
社員自ら気付くことができると、改善も早いような気がします」と、発案者である橋本建設の橋本社長は語る。
安全パトロールは、現場管理の向上に加えて会員各社間での情報交換の場にもなっている。新しい建材や施工方法など、互いに情報を共有しアップデートを図ることで、会員工務店全体のレベルアップにつなげたいという。こうした取り組みを重ねるのは、お施主様の満足度を高めるとともに、大手ハウスメーカーと渡り合う現場力を向上させることも狙いの1つ。工務店の力の底上げに向けて、これからも有意義な安全パトロールを継続していく。
玄関周りの養生がしっかり行われ、玄関先にはお施主様の写真が掲示されていた現場。「こうすることで現場の職人さんにもお施主様の顔が分かるのは良いこと。2階へ上がるハシゴの横に手すりが付いていたことも安全性に配慮している」と評価
安全パトロールは、会員各社の社員同士でさまざまな意見交換ができる貴重な機会にもなっているという
女性社員も積極的に参加。簡易トイレの清潔さや工具の片付け方など、細かい部分にまで目を配っていた
室内の床の養生の上から防水シートをていねいに貼っていた現場は「お施主様にも好印象を与える」との声が
安全パトロール終了後はランチミーティング。各社からそれぞれの現場で感じたことや提案などが発表され、互いに意見を交わす場に。「工具を片付けるためのスチールラック設置は自社でも採用したい」、「簡易トイレに花を飾ってもいいかな」など、出された意見を熱心にメモする姿も印象的だった。
より良い現場づくりをするために広島県工務店協会が定期的に行っているもので、今回が3回目。建築現場の安全管理は通常自社で行っているが、複数の会員工務店から客観的に現場を見てもらうことで現場づくりのレベルアップを図る。